(秋亜人(小学生)・独白調)
凱が倒れた。
ずっと一緒だったのに、オレ凱が具合悪いの気付かなかった。
それどころか、いつもより顔色イイな〜なんて思ってた。
本当は熱があって苦しいハズだったのに。
オレ…最低だ。親友失格だ。
…いや、もっと最低なのは…オレのせいだ、ってことだ。
凱の姉ちゃんが『きまつしけん』とやらで大変だから、
家で晩メシ食うよう2人に命令したのは母ちゃんだ。
でも、凱に残れ、泊まってけとワガママ言ったのは…オレ。
母ちゃんには無理言うなって怒られたし、
凱の姉ちゃんはウチに悪いと何度も言ってた。
凱は…凱も…困った顔…してた…、けど、だって!!
凱と一緒だったらいつだって楽しいし、それは凱も同じだと思ってたんだよ!
でも…凱は熱出した…やっぱオレ、アイツに無理させたんだ…。
「ちょっと日高君、どこ行く気!?
先生に黒木君は安静にしてなきゃいけないんだから、
遊びに行っちゃダメって言われたでしょ?」
…うげ。
ウルサイ奴に見つかっちまったぜ…。
「どこってションベンだよションベン!!」
と言って引き下がる奴じゃ…
「おトイレなら廊下の端の方が近いでしょ!?」
…やっぱねえよな。
でも、ここは譲れねえ。
無視して階段を駆け降りると、
「ちょっと日高〜!廊下走っちゃダメ〜!」
って声が聞こえた。
絶対先生にチクるな、ありゃ。
急がねぇと…。
とりあえず、廊下は走る!!
保健室ってキライだ。
変なニオイがするし、なんか注射を思い出す。
凱、寝てるかな…。
恐る恐るカーテンを少し開けてのぞき込むと、
こっちを見てる凱と目が合う。
「よぉ、どうだ具合?」
「うん、だいぶ楽になったよ」
ニッコリ笑ってみせるけど、やっぱ苦しそうだ。
声かすれてるし、目も赤い。
…オレのせい、オレがワガママ言ったから…。
「ごめん、凱!!」
凱の顔見るのが怖い。
「お前が熱出したの、オレのせいだ!
凱が身体弱いの知ってたのに、
ムリヤリ引き止めた!
風呂でも潜りっことかさせたし、
夜も自分勝手にUFOとかウルトラマンとか
そんな話にずっと付き合わせた!
お前がツラいのオレのせいだ…。
ごめん、ごめん凱ぃ…」
…オレの上履き、汚れてんな。
なんか名前がにじんで…
「熱、頑張って下げるから、今晩も秋亜人の家に泊めてくれる?」
…へ?
今、凱の奴なんて言った?
思わず顔を上げると、真剣な顔をした凱と目が合う。
「…おま…怒ってねえの…?」
ブンブン、と顔を横に振ってる。
「その、うまく言えないけど、
潜りっこもUFOやウルトラマンの話も楽しかったんだ。
もちろん、秋亜人のお宅にご迷惑じゃなかったらだけど…
姉さんの期末、まだあと2日あるし…
ダメ、かな…?」
「ダメな訳ないじゃんか!
そんな心配そうな顔するなって!
あ、でも、熱が下がって元気になったら、だかんな!
母ちゃんに言うとウルサイから内緒にしとこうぜ!
そうそう、まだ宇宙人の写真がある雑誌、見せてなかったよな!
すっげえんだぜえ!小さくてさ…」
ぽんぽん、と誰かが肩叩いてる。
うるせえな、凱と話してんだからあっち行けよ。
「大人の半分位なんだぜ!
なのに目はデカくて」
「日高、もう予鈴鳴ったぞ。聞こえなかったのか?」
んげ、保健室の先生…。
「ほら、早く教室に戻った戻った」
ちくしょ〜、追い出そうとしてやがる。
せっかく凱が笑ってんのにさ。
「凱、約束だかんな!
絶対、ずえったい熱下げろよ!
授業終わったら迎えに来るかんな!」
最後に一回凱に手を振る。
凱も笑って振り返してくれる。
やったぜ、本当に凱の奴、怒ってないんだ♪
凱もオレと一緒にいんの、楽しいって思ってくれてんだ♪
へへっ、じっとしてらんね〜!
「こら日高、廊下走るんじゃ無い!」
さあて、あとは国語と理科やったら給食だ〜い!
今日のデザートのプリン、凱の分も絶対オレが手に入れて、
保健室に持ってってやるんだ!
終
(2008年3月18日の日記から)
給食のプリンはなんであんな美味しく感じたんだろう。